2024年この上半期は全国的に倒産件数が過去10年で最多となっているようです。
仕入れ価格や経費などの物価高に加えて、ご承知の通り人件費も大きく上昇していますので、これまで内部留保を大きく増やしてきた大企業はともかく、コストアップ分を価格転嫁できず、なんとかやりくりしてきたような中小零細業の資金繰りは厳しいものがあると容易に予想されます。
コロナ禍での業績悪化から立ち上がれない状況を隠蔽した粉飾決算が発覚して倒産するケースも増えているとのことです。ゼロゼロ融資を初めとするコロナ禍での緊急避難的なすべての企業の救済から、新型コロナの5類移行による経済の正常化によって市場による企業の淘汰が始まっている状況なのかもしれません。
これまでの日本では長期雇用を前提としていましたので、転職のたびに雇用条件が悪くなることが当たり前でした。しかし、この状況も最近では随分と変わってきています。転職支援サービスや行政による説明会によるフォローにより、海外のようにより良い条件での転職も増え始めているようです。そんなより良い待遇での転職を目指すためには、自分のスキルや資格を転職先業界やその市場での価値が高いものに磨きあげてゆく必要があるでしょう。
また、転職先である成長企業の見極め方としては、一般的には売り上げや利益が増大し利益率が高いことや、成長している業界でそのシェアを伸ばしていること、技術革新を続けて新しいビジネスモデルを構築していること、リピーターやその企業や商品に対するファンとなっている顧客が多いことなどがあります。
逆に大手企業に対してどうしても給与面では見劣りしてしまう中小零細企業の人材確保のためには、フレックスタイムやリモートワークによる柔軟な働き方の提供、休日の取りやすさ、社員同士の距離の近さを活かした居心地の良さ、様々な業務を短期間で経験できスキルアップができること、地域密着企業として地域貢献により地元で活躍できることなどをアピールする必要がありそうです。
なかなか変わらないと言われてきた日本の労働市場ですが、いよいよ変わらざるを得ない状況に追い込まれてきたように感じます。おそらく企業の新陳代謝は今後ますます活発となるでしょうから、企業や労働者ともに市場の動向を見極めて、自分自身の市場価値を高めていく努力が欠かせないことになりそうです。